*執事と、隠し事*

5/15
9962人が本棚に入れています
本棚に追加
/814ページ
      「ところで、カノン様。 本日のスウィーツは…アップルパイにしようかと思っているのですが…如何ですか?」     「…ぁ‥アップルパイを作るのか‥ッ!?」     さっきまで顔を真っ赤にしてむくれていたカノン様が、アップルパイという単語を聞いただけで…瞳を輝かせて振り向いた。     「えぇ。 とても美味しい林檎が今朝、届きましたから」     「アップルパイ…‥ 久しぶりだな」     わくわくとしているのが、一目で分かってしまう程‥…。 感情を露わにする瞬間がある、というところが子供っぽいと思われてしまうなんてコトに…何故、気付かないのでしょうね。   まぁ、 そういうところがまた、 可愛らしくていいのですが。     「そうですね。 では、本日のスウィーツはアップルパイをお作り致します。 なので…、朝食を済ませた後から10時のティータイムまでは、お勉強の復習をなさってくださいね?」     「…‥え‥」     「そうじゃないと…、 アップルパイは無しということで」     にっこり笑って言えば、 カノン様の血の気が、サーッとひいていくのが、すぐに分かった。     「緋月…‥ ちゃんと復習やるから、アップルパイ‥…」     「分かっていますよ? ちゃんと出来れば…ね」     カノン様の頭を撫でながら、僕は…そう言った。           .
/814ページ

最初のコメントを投稿しよう!