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「ところで、カノン様。
本日のスウィーツは…アップルパイにしようかと思っているのですが…如何ですか?」
「…ぁ‥アップルパイを作るのか‥ッ!?」
さっきまで顔を真っ赤にしてむくれていたカノン様が、アップルパイという単語を聞いただけで…瞳を輝かせて振り向いた。
「えぇ。
とても美味しい林檎が今朝、届きましたから」
「アップルパイ…‥
久しぶりだな」
わくわくとしているのが、一目で分かってしまう程‥…。
感情を露わにする瞬間がある、というところが子供っぽいと思われてしまうなんてコトに…何故、気付かないのでしょうね。
まぁ、
そういうところがまた、
可愛らしくていいのですが。
「そうですね。
では、本日のスウィーツはアップルパイをお作り致します。
なので…、朝食を済ませた後から10時のティータイムまでは、お勉強の復習をなさってくださいね?」
「…‥え‥」
「そうじゃないと…、
アップルパイは無しということで」
にっこり笑って言えば、
カノン様の血の気が、サーッとひいていくのが、すぐに分かった。
「緋月…‥
ちゃんと復習やるから、アップルパイ‥…」
「分かっていますよ?
ちゃんと出来れば…ね」
カノン様の頭を撫でながら、僕は…そう言った。
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