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ササクレ
花はしずかにさざめいて、
僕の心をかき乱す。
知ってしまったから、
もう忘れることもできない。
さあ賭けをしよう
コインを投げて
表が出れば君の勝ち
裏が出れば僕の勝ち
いいかいこれが運命の分かれ目
僕と君の別れ目
投げるのは一度一度きり
そのまえに。
だれがコインの裏表を決めたのだろう。
投げていい?
この気持ちは何。
君は僕の何。
己の名を知らず鳥は歌い、
己の色を知らず花は咲く。
ざくざくと歩く。
捨てたものに埋もれないように
追いかけるのに間に合うように
振り落としたものに縛られないように
うつりゆく景色を享受できるように
がばりがばりと闊歩する。
空元気も元気。
うすくうすく、僕が剥がれてゆく。
他人になれたらいいのにと思うことがある。
そうすれば、きっとうまくいくような気がして。
それぞれが勝利者であり、
克つ幸福な敗退者である。
満足と絶望の相似。
あぁ、そう、
鍋みたいに自分を磨けたらいいのにね。
ゆっくり、
なにも急ぐことはないんだよ。
この痛みは僕のものなので。
好きだとか嫌いだとか、
そんなことにも力は必要。
大丈夫、僕がいる。
君の隣には僕がいる。
ラベルを貼って、
満足して眺めていない?
それをちゃんと、
手にとってみた?
毒を食らわば君まで。
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