90人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
教頭先生の閉式の言葉で入学式は閉じられ、来賓の方々、保護者そして在校生の順で退場の案内がされたあと僕たち新入生の退場…の、はずだったんだけど……。
いや、正確に言えば新入生である僕も退場のはずだったんだけど、かな…。
もちろん、何のお咎め無し、だなんて都合のいいことを考えていたわけではないけれど……。
僕と、僕に突然告白…?をしてきた(元凶の)あいつだけは、式の行われていた体育館に残されていた。
そして椅子に座ったまま見上げる僕らの目の前には…
「全く…困りますね。教鞭を執りいちおう7年程経ちますが……。私が学生だった頃から考えても、入学式であんな風に大きな声を出して式の進行を妨げた生徒を受け持つのも、この目で見たのも初めてです。」
言いながら、かけている細い銀縁フレームの眼鏡を直しつつ静かに怒りを示すのは、担任の君嶋 大翔(キミジマ ハルト)先生。
眼鏡の奥からは、知的で、少しだけ冷たい雰囲気を纏ったような、美しい切れ目がみえた。
「あ…あの、僕……、本当にすみませんでした」
.
最初のコメントを投稿しよう!