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「お前が何をそんなに必死なのか知らねぇけど、とりあえず気にすんなよ、な!」
そう言って頭に乗せたままの手で僕の髪をわしわししながらニッと笑いかける。
「…り、理由も分からないくせにそんなこと言うなんて…無責任、だよ……」
根拠なんて分からなくても目の前の人間を励ませるなんてすごいと思ったし、正直嬉しかった…なのに、僕の口からはこんな、可愛い気のない言葉が零れる。
「んなこと言われてもなぁ…わかんねーのは事実だし、理由聞いてもいいけどさぁ……お前、すげぇ泣きそうな顔してるから。」
その一言に、僕は上げた顔を動かすこともなくきょとんとする。
泣きそう…?
頭に乗せられた掌も、僕に向けられたその視線も、そのまま…と、いうことは、やっぱり僕に向けられた言葉なのだと気付くのに少しばかり時間を要した。
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