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普通、こういう大事な式典や講演会なんかで僕たちみたいな生徒が下を向いたり(その場合だいたい寝てるけどね)、話をしたりすると先生方にお叱りを受けちゃうわけだけど。
来賓席のオエライサン方まで‘あんな’状況だし、こういう場で生徒を注意、なんてこともできないだろうし……少し、くらい……
そう睡魔に身を任せ瞼を閉じようとしたときだった。
「なあ」
(誰か話かけてきた…?)
声に気付いた僕は、いちおう目を開き声がした左の方へと顔を向ける。
でも、声をかけてきたはずの左の人は、感心というか尊敬すらしてしまいそうなほどに、式が始まってから動かなかったんじゃないかと思うくらい背筋を伸ばし、
例の‘何とかさん’のいる壇上を真っすぐ見ていて。
気のせいかな、と顔を向き直した、そのとき
「好きです。付き合ってください」
さっき僕が左からだと思っていた呼び掛けは、どうやら正確には、僕の後ろの人がたまたま左耳に顔を近づけて喋ったかららしくて、さっきと同じ気配で僕に告白……
こ く は く ?
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