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「生徒が大変失礼を致しました。心よりお詫び申し上げます。……君、席につきなさい」
こんな大事な時に告白なんてどんな神経をしているんだ、という怒りも
生まれて初めての告白が、まさか同性からのものだったなんて信じられない、というショックもすっかり忘れたかのように放心状態だったけど、聞こえてきた声に従うしかなかった。
腰を下ろししゅんと唸垂れる。
「……お話を遮ってしまい、ほんとうにすみません。続けていただけますか」
声の主は、僕が腰を下ろすのを確認すると俯いているしかできない僕の代わりに、どうやら深々と頭を下げ謝ってくれているらしい。
「…………え、ああ……いえ。ハハハ、新しい生活を迎える初々しい生徒諸君を前に少々張り切りすぎてしまったようだ。長話になってしまいました。……ああ、いいですよ、先生。頭を上げてください」
マイクを持ったまま間の抜けた顔をしていた何とかさんが、穏やかな口調で、しかしはっきりと僕の失態を許す言葉を言う。
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