いつもの世界に

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「あ、聞こえてた?」 「聞こえてるから。受験生に向かってバカとはなんだ。」 すると葵は笑うのを止めて真顔で言った。 「だってバカでしょ?」 って! 「なんか…ダンスの時とキャラが違うね。」 あの真剣な顔つきが、今は楽しそうに笑っている。 ん?と葵は不思議そうな顔をする。 「え、そうですか?自分ではあんまりわかんないよ。」 まぁ、わかってたらわかってるで怖いけど。 「んか、どっちでもいいや。」 どっちの葵も葵だし。(←ちょっと名言?) 「あ、ダンスといえば、共演よろしくね。」 思い出した様に言われる。 「うん、よろしく。」 「あっ!ヤバ、あたし先生に呼ばれてるんだった。」 急に叫ぶモンだから、身体が違うビクッと震えた。 アナタ、心臓に悪すぎ。 「何、呼び出し(笑)?」 ニヤっと笑ってみる。さっきまで笑われまくったからね。仕返し?みたいな。 すると、ちょっとにらまれた。 「結宇じゃないんだから💢委員会だよ。」 あッ、そう……なんだつまんない。 「じゃ、早く行きなよ。」 「うん、じゃあまた練習の時ね。」 そう言うと、葵は職員室の奥の会議室へと小走りで走っていった。 僕はその様子を見届け、会議室とは反対側の、竜貴の待つ3年A組へと歩いて戻っていった。
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