タイムマシンに乗って

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時は西暦63億2千8年。 太陽は自らの終焉に向け、年々少しづつ大きくなっている、後数年で地球に人類が住むのは不可能になるだろう。 学者達は何億年もの間、人類が移り住める星を探したが、地球に近い環境の星は未だ見つかってはいない。 滅亡のカウントダウンは刻一刻と迫っていた。 そんな中、あるエジプトの科学者は人類存続の希望を見出した。 何十億年も研究され、一説には不可能とされていた、タイムマシンの開発に成功しようとしていたのだ。 全員がこれで過去に戻れば、人類は滅びることは無い。 その斬新なパーツや外観は、とても機械には見えないが、理論上は完璧と思われた。あとは試運転だけだ。 科学者は期待に胸を膨らませ試運転に望んだ。 タイムマシンに乗り込み、スイッチを入れる。それと同時に空間が歪み、タイムマシンは大きな音と共に、姿を消してしまった。 そして、タイムマシンは見渡す限り何も無い砂漠に到着した。 タイムマシンは本当に時を越えたのか? 少し早い鼓動を抑え、科学者はタイムマシンの外へ出てみた。 「おかしい、目的の時間軸は10年前を設定したはずだ…ここはいつの時代だ?」 とりあえず、原因は分からないが風景からしても10年前では無い事は確かだ。 あたりを見回すが何も無い、時代も分からないまま科学者は、情報を集めるためにタイムマシンを置いて歩き出した。 少し歩いた所で、旅の途中であろう女性を見つける。服装からすると、かなり昔の様だ。 少しでも情報を集めようと、話かけてみた所、古代エジプトで使われていた言語を使ってきた事から、これは相当昔の時代に来てしまったと科学者は確信した。 全身が震える。 無理も無いだろう、時間軸にズレはあったものの、ここに人類最初のタイムマシンが完成したのだから。 あとは元の時代に帰ってズレを直せば完璧だ。現代に戻れば、彼は間違い無く英雄だろう。
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