2/2
719人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
「先輩止めましょうって」 「うるさい!俺はどうしても金が欲しいんだ」 言葉通り、先輩はなんとしても金が欲しい様だ。俺はそれを引き留めようとしている。 「気持ちは分かりますが……そんな金になんの意味があるんですか!!」 「だまれだまれ!良いんだよ俺は!」 実際、こんな事で金を手に入れても意味はないだろう。しかし先輩は俺が止めるのを余所に作業に入った。 「先輩!今ならまだ間に合います!考え直して下さい」 彼が作業をやめる様子はない。もはや全く聞く耳を持たないみたいだ。 しかし、先輩がここまで金に執着していたとは知らなかった。普段はむしろ興味無さそうな人だったのに、やはり人間は上辺だけでは分からない。 見放そうとも思ったが、バレたらこの男は、世間の笑い者だ、恐らくニュースにもなるだろう。仕方ない……無理矢理止めるか。 決心した俺は、半分ほど金色の絵具が塗られた銀メダルを先輩から奪い取り、水道へ走った。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!