カップラーメン

2/2
719人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
カップラーメンって凄いわ。 だって、あんな変な物がお湯を入れて3分待つだけでラーメンになるんだもの。 お湯だけなんて信じられない、きっとカップラーメンの妖精がいて、私達の知らない内にラーメンを作ってくれるのよ。 子供の時にこの話をしたら、お母さんは笑って聞いてくれてたわ。 幼稚園でも皆聞いてくれてた。 小学校六年になると皆にウソつきって言われた。 見たことも無いくせに。 聞いてくれたのはお母さんだけ。 高校に入ったらもう変人扱い、友達もいなくなった。お母さんも段々私を無視する様になってきた。 信じてた母親にまで裏切られるのは辛かった。 それでも私はずっとカップラーメンの妖精を信じてたの。 心の奥底から。 運命の出会いは大学へ入ってすぐに訪れた。 私の話を親身に聞いてくれた人が、「妖精の見える」っていう白い粉をくれたの。 本当は高いらしいんだけど、親切な人だわ。 お陰で今は妖精と暮してる。皆には見えてないのに私には見えるの、凄いでしょ? さて、そろそろ新しい粉買いに行かなくちゃ。妖精さん行ってくるね。 事切れた母親、その上に腰掛ける妖精に手を振り、彼女は今日も不思議な粉を買いに行く。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!