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カップラーメンって凄いわ。
だって、あんな変な物がお湯を入れて3分待つだけでラーメンになるんだもの。
お湯だけなんて信じられない、きっとカップラーメンの妖精がいて、私達の知らない内にラーメンを作ってくれるのよ。
子供の時にこの話をしたら、お母さんは笑って聞いてくれてたわ。
幼稚園でも皆聞いてくれてた。
小学校六年になると皆にウソつきって言われた。
見たことも無いくせに。
聞いてくれたのはお母さんだけ。
高校に入ったらもう変人扱い、友達もいなくなった。お母さんも段々私を無視する様になってきた。
信じてた母親にまで裏切られるのは辛かった。
それでも私はずっとカップラーメンの妖精を信じてたの。
心の奥底から。
運命の出会いは大学へ入ってすぐに訪れた。
私の話を親身に聞いてくれた人が、「妖精の見える」っていう白い粉をくれたの。
本当は高いらしいんだけど、親切な人だわ。
お陰で今は妖精と暮してる。皆には見えてないのに私には見えるの、凄いでしょ?
さて、そろそろ新しい粉買いに行かなくちゃ。妖精さん行ってくるね。
事切れた母親、その上に腰掛ける妖精に手を振り、彼女は今日も不思議な粉を買いに行く。
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