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道路沿いの森へ、心無い一台の車から、吸い殻が投げ込まれる。
すると、その吸い殻は音もなく消えてしまった。
偶然、その場面を目撃した男は驚いた。無理もないだろう、目の前で、物がいきなり消えてしまったのだから。
この森は、入り込んだものを消し去ってしまうのだろうか?
疑問に思った男は、ためしに、ポケットに入っていた、ガスの切れた使い捨てライターを、森に投げ込んでみた。
すると見事に、ライターは消え去ってしまった。今度は、落ちていた石ころを投げ込んでみたが、石ころは消えはしない。
少し考えた男は、偶然近くに落ちていた空き缶を投げ込んだ。
その空き缶は森に投げ込まれると同時に姿を消す。それを見た男は、一つの仮説を立てた。
もしかすると、この森はゴミだけを消し去る不思議な力があるのではないか?
事実、石ころなどの自然物質は消えはしないし、明らかにゴミと判断できるものだけ消えていく。
森の中には、鳥なども入っていったが、それら生物は消えはしなかった。
男は、その真相を確かめる為、その場所から一番近くにあったゴミ箱へ向かい、ゴミを数個拾って、森へ投げ込んでみた。
男の予想通り、投げ込んだゴミは、すべて森の中へ入ると同時に消え去ってしまった。
男は確信した。この森は、ゴミを消し去ってしまう森なのだと。
すると男は、家へと戻り、使えなくなった電化製品や、家中のゴミを軽トラックへと積み込み、再度森へと向かった。
この森ならばお金もかける事無く、ゴミを処理できるだろう。
森の近くへ着くと、男は意気揚々と車からゴミを取り出し。次々森へと投げ込んでいく。
彼の期待通り、投げ込まれたゴミは、全て姿を消しさってしまう。
最後に中型の冷蔵庫が残ったが、これは投げ捨てるには少々重過ぎる。
男は仕方なく、冷蔵庫を抱え森へと置きに行ったのだが、森に入ると同時に、彼は冷蔵庫とともに姿を消してしまった。
それ以来、男を見たものは誰一人いない。
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