永遠に二人で

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全てを吸い込むような青い空、そしてその下にあるとても素朴な自然。 僕のつくりあげた芸術。ああ……きれいだ。 そしてここにいるのは僕と君の二人だけ。そうだ、そう言えば君はりんごが好きだったね。りんごの木を壁に描き足してしておくよ。 さらさらと流れる小川も床に描こう。水の流れる様は美しいからね。 よし、出来た。これで真っ白だったこの部屋も、また少し僕と君との理想の景色へと近づいた。 ああ、ごめんごめん。よく見比べると君の髪の毛はもう少し明るい色をしていたね。ここは直しておかないと。 さて、これで完成だ。特に君の絵は、今にも壁から飛び出てくるかの様な出来ばえだよ。 これで僕と君は、この部屋で歳を取ること無く、手をつないだままずっと一緒だ。 こんなにきれいな君は、今でなければ描けなかっただろう。 君の腐敗が始まる前に完成してよかった。僕も今そっちへ行くよ。
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