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午前八時ちょうど、いや……二、三分過ぎたかな、いつものベッドで目覚めを迎えた。
あれ?昨日は憧れの美紀ちゃんと一緒にアパートに帰って……。
隣にいるはずの美紀ちゃんの姿が無い。
ああ、夢だったのか……。でも幸せな夢だったな。今日は良い事がありそうだ。
そう思い寝室のドアを少し開くと、実家を思い出す懐かしい匂いがした。味噌汁の匂いだ。
「あ、おはよう。朝ご飯出来てるよ」
夢じゃ無かった。懐かしい様で新鮮な匂いに胸が踊る。
朝飯なんか食べるのは一人暮しをしてから初めてだった。
「味噌汁の味大丈夫かな?」
美味しいよ、と僕ははにかむ。実際に味は絶品だ。
「で、あのね勇治くん……昨日の事なんだけど、私遊びとかじゃなくて……」
良く考えると、憧れの美紀ちゃんが目の前で……朝飯まで作ってくれて……え?
目の前の光景をにわかに信じられない、でも自然と胸がときめく。
「私……初めて会った時から勇治君の事が……」
と、言う所で目が覚めた。
また夢か……。
今日の夢が正夢になる事を、この時点の僕は知る由も無い。
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