719人が本棚に入れています
本棚に追加
「おめでとうございます。あなたは人類史上八十兆人目の死者です。諸事情でお迎えが遅くなり申し訳ありませんでした」
もっと謝れ、お陰で俺は見たく無い物を沢山見たんだよ。
「本当にすいません、しかし遅れた理由を詳しく話せば分かってもらえると思います」
神の使いの話を聞く所、俺は八十兆人目の記念として何でも一つ願いが叶うとの事だ。
生き返ると言う願いを除いて……。
まあ、流石に死んだ人間が生き返ると言うのも虫が良い話か。
取り敢えず、「現世を良く見た上で願いを聞きたいから」との事で迎えが遅くなったらしい。その話を聞くと少し親切な奴に思えて来た。
だとしたら願いは……。あいつを殺す。
最初はそう考えたが、ただ殺すのは面白くない。
そうだ、あいつの罪を世間に公表してやろう。そうすればあいつは捕まり、彼女も愛想を尽かすだろう。
俺は願いを言うと、神の使いに連れられあの世へ旅立った。
今はあの世からあいつの行く末を見ている。誰でも現世を見れる訳では無く、願いを叶えた者の特権らしい。
だが俺はこの特権を憎んだ、あいつが捕まる際、醜く歪んだ彼女の笑顔を見たからだ。
最初のコメントを投稿しよう!