死者の特権

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「おめでとうございます。あなたは人類史上八十兆人目の死者です。諸事情でお迎えが遅くなり申し訳ありませんでした」 もっと謝れ、お陰で俺は見たく無い物を沢山見たんだよ。  「本当にすいません、しかし遅れた理由を詳しく話せば分かってもらえると思います」 神の使いの話を聞く所、俺は八十兆人目の記念として何でも一つ願いが叶うとの事だ。 生き返ると言う願いを除いて……。 まあ、流石に死んだ人間が生き返ると言うのも虫が良い話か。 取り敢えず、「現世を良く見た上で願いを聞きたいから」との事で迎えが遅くなったらしい。その話を聞くと少し親切な奴に思えて来た。  だとしたら願いは……。あいつを殺す。  最初はそう考えたが、ただ殺すのは面白くない。  そうだ、あいつの罪を世間に公表してやろう。そうすればあいつは捕まり、彼女も愛想を尽かすだろう。 俺は願いを言うと、神の使いに連れられあの世へ旅立った。 今はあの世からあいつの行く末を見ている。誰でも現世を見れる訳では無く、願いを叶えた者の特権らしい。 だが俺はこの特権を憎んだ、あいつが捕まる際、醜く歪んだ彼女の笑顔を見たからだ。
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