無職

5/11
前へ
/1046ページ
次へ
 このまま、泣き出したかったが涙すら出てこない。最後に涙を流して大泣きしたのは、四年前の夜だったろうか。それに比べれば、解雇などなんの痛手にもならないようだった。 「不正解雇な、そいつに落ち込んでたのか」 「いえ。この最中に、人員を減らすハリス長官に呆れていたんです。後は、無力感に押し潰されていました。変ですよね命が無くなるわけでは無いのに」  スピカには、今起きている事件がうやむやになることが少し不安だった。ヒルとコアリスがアレン襲撃の犯人を追いかけてはいるが、自分が指揮を取れなくなったとなれば、身動きが出来なくなり、元から折り合いの悪い第二等星警察隊に事件を任せる事になる。  第二等星警察隊は、スピカの知る範囲で実技より事務を専門とする人々が顔を揃えており、昨日の襲撃犯とまともに渡り合える気はしなかった。  話を聞いたクロスが、難しい顔で言う。 「その際は、第三、第四を巻き込んで動くしかないだろうな。まあ、第一の御隠居と巡査があの事務隊長の言いなりになるとも考えにくい。襲撃犯の姿は俺等も探してる。今もその途中だった分けだ」 「そうですか。話は聞いています。凄い大怪我をして逃走したと」
/1046ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加