いち

3/5
前へ
/57ページ
次へ
「そこ邪魔、通して。」 「・・・ウゼェー」 廊下で友達と話している俺らに向かって、サキが言った。 中学に入ってからの俺は少し荒れてた。ほんの少しだけ。 中学で禁止されている香水を付けたり、髪をワックスで立てたり、ネックレスを付けたり。 真面目しかいない学校で俺等『不良グループ』は少し浮いていた。 そんな俺等に『邪魔』だの『どけ』などと注意できる生徒は今までいなかったから、俺等にとってサキは異色の人材だった。 今思えば、これが俺等の初めて交した言葉だった。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加