雌犬.1

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「ちょっとどうすんのよこーた君。こんな子拾ってきて、バレたらヤバくない?」 「どうせバレないって、こいつ駅前でだらだらとよだれ垂らしながら歩いてたんだぜ、周りにいたやつは俺の事家族かなんかだと思うだろうよ」 「そうかなぁ…。」 「おー、真美のその顔。たまんないねぇ」 「変なことで笑わないでよ。 ところで、この子名前はなんていうの?」 「さあ?きいても答えないし、そもそも日本語喋れなかったりして」 「さすがにそれはいいすぎでしょ、かわいそうだよ…。あ、起きた」 「そうかぁ?まぁちょうどいい、おい、ワンって言ってみろ」 『…ぇ?ぁ、ゎ、ゎん』 「おぉまじか、まじでいいやがった。 …なあ真美、コイツ今日から飼わないか?」 「えーそれ絶対ヤバいってー……。でもこーた君が飼いたいなら飼っていいかも。結構かわいいし」 『ぇ…な、何を?』 「真美の小悪魔フェイスもたまんない。ってか色々鳴かれたら近所迷惑だからくちわしようぜ」 「さんせー。この子かわいいけどうるさそうだし…」 『ちょっと!何するんですか?!やめてく…んんー!!んー!』 「はいオッケー」 「ところでこの犬の名前何にしようか?」「んー…真美が決めていいよ?」 「本当?やった♪じゃぁこの『んー』ってのが耳障りだから、“ミミリン”とかどうかな? 」 「はは…すごいネーミングセンスだな。じゃぁコイツは今日からミミリンで。よろしくな、ミ・ミ・リ・ン」 『ンー…!ンンンー!ン……』 「ミミリン泣いちゃった。超かわいい、大切に育てようね、こーた君」 『ン、ン…』
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