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「……なに」
カラコは口を尖らせながらそう言う。
ふてくされているらしく、眉をつり上げている。
その隣りに、カラコがふてくされている元凶がいた。
「………その……この間は、悪かった…」
バツが悪そうに、ぼそりと呟くヒドゥ。
「あぁん?なんだってぇ?」
カラコはヤクザ座りをしながらヒドゥを睨み付ける。
「だーかーら、この間はすんませんでしたっつってんの!」
ヒドゥは、はぁ…とため息漏らしながらそう言った。
するとカラコの睨みが一層キツくなる。
「……ほんとに反省してないだろ」
「…あぁ」
「………………」
ヒドゥのあっさりとした返答に、カラコはふぅ…と顔の力を抜いた。
「わかってるよ。どーせガシャとプルナに怒られたんだろ」
「………ははっ…まぁな。
正確に言うと、チョモラも加わって3人がかり。逃げんのに苦労したぜ。
………お前ってさ、男にモテるんだな」
「……言うなよ。気にしてんだから」
ぷぅっと膨れるカラコにヒドゥはクスリと笑う。
「ま、お前はララト大好きっ子だもんなぁ。せいぜい後でもくっついてろよ。
その内相手にしてくれるかも知れねぇぜ」
ニヤニヤと笑いながら座っているカラコの顔を覗くヒドゥ。
ばちりと目が合いカラコは逸した。
「…っだから!言うなよ!恥ずかしいな!!」
「ははっ!初な奴!そんじゃオレは帰んぜ。
そんな所で座っていて風邪ひくなよ」
じゃあな、とヒドゥがカラコの隣りから離れようとした
その時……
「………っと?」
何かに引っ張られ、ヒドゥは足を止めた。
カラコがヒドゥのズボンを引っ張っていた。
「………なんだよ?」
「………明日……ヒドゥ、偵察なんだろ?」
「……?あぁ、そーだけど?」
ヒドゥは別にいつもの事、というように平然とそう言う。
すると、ズボンを握り締めていたカラコの手が震え始めた。
「…………死ぬなよ……!」
か細い声でぼそりと呟く。
ヒドゥは、しばらく驚いた顔でカラコを見つめていた……が、
「………………っぷ………ぶふっ……!!」
ヒドゥは咄嗟に口を手で押さえ、笑いをこらえた。
「ちょっ!!!何笑ってんだよ!!こっちは本気で…」
その笑いにカラコはそう言いながら立ち上がるが、最後まで言い切ることができなかった。
……不意に、ヒドゥがカラコの涙を指で拭ったからだった。
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