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「うっ……ヒック……ふっうぅ……」
神社の長い階段の途中、しゃがみ込んで泣いている女の子がいる。
「はぁ……はぁ……はぁ、いた……」
いつから走っていたのか、男の子は女の子の隣に座り、背中を擦りながら自分の呼吸を整えた。
「あ、きと……おかっ。お母さんがっ……ふっ、くぅ……」
「うん。聞いたよ。……由希、帰ろう? おじさんが心配してたよ」
男の子、秋人が一生懸命宥めても、女の子、由希は首を横に振り続け、泣くばかりだ。
どのくらいの時間そうしていたのか、いつの間にか由希は寝てしまい、秋人の肩に寄りかかった。
「……ったく」
まだ小学二年生の二人、身長も体格もあまり変わらない年齢の為、とてつもなく大変だろうに、秋人は由希をおぶって、よろよろしながら自宅へ帰って行く。
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