1473人が本棚に入れています
本棚に追加
自宅へ着くと秋人の母、桜が玄関の前で、心配などしていなかったような笑顔で待っていた。
「おかえり。由希ちゃん……寝ちゃったのね。重いでしょ? 私がだっこするわ」
「……ん」
そう言って、桜が抱こうとすると、由希は泣きそうな表情をして、身動いだ。
「あらあら、由希ちゃんは秋ちゃんじゃなきゃ安心して眠れないみたいね」
「寝てるのに分かるか? 俺と母さんの違い」
「由希ちゃんには分かるのよ。って、照れてるの? 顔、赤いわよ」
「うっせーよ」
桜にクスクスと笑われ、秋人は拗ねた表情を変えないまま、頬をさらに赤らめる。
「でも、どうしよう……秋ちゃんから離れないんじゃ運べないわね」
「いいじゃん。今日は泊めれば。一階の客室に寝かせてくる。母さん、おじさんに連絡しといて」
最初のコメントを投稿しよう!