こんなの日常茶飯事

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   音を立てないように扉を開けて、そっとベッドへ近づく。  ここからはちょっとした闘いだ。  名付けて、     “布団争奪戦”    まだ寝ていたい秋人と、早く秋人を起こさなければならない彼女が、布団を取り合うという……。    はたから見たら、じゃれ合っている様にしか見えない光景だが、お互い必死に闘うのだ。   「早く起きてよ! ご飯冷めちゃう!」   「後、三分……」   「だめぇえぇ! そんな事言って寝過ごすんだから! 早く起きなさいっ!」    そう言うと彼女は、思いっきり布団を引っ張った。  その勢いで、秋人の上半身も引っ張られ、起き上がる。    上半身を起こしていても、秋人の目と声は眠そうだ。   「由ぅ希ぃ。俺、昨日遅かったんだからもうちょい寝かせてよ」   「自業自得じゃない! どうせ本でも読んでたんでしょ!」  
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