始まる予感

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当時は携帯電話を持っている人なんて、ほとんどいなかった。 ポケベルが主流だった。 私の方がタケルより何時間も早くバイトが終わる。 タケルに自宅の電話番号を書いたティッシュを渡し、私は一旦自宅へ戻った。 私は急いでシャワーを浴び、着替え、タケルからの電話を待っていた。 きっと… この時には… もう始まっていたんだと思う。 タケルを好きになっていた。 何故だか分からない。 一目惚れに理由なんてなかった。 しばらくしてタケルから電話があり、出逢った場所と同じデパートで待ち合わせをした。 私とタケルと彼の相方。 何をするわけでもなく、3人でおしゃべり。 『また会いたいね。』 『今度はこっちに遊びにおいで。』 タケルは、いつも私の目を見て笑いかけてくれた。 ずるいなぁ。 本気で好きになってしまう。 タケルの電話番号を教えてもらい帰宅した。 会ったばかりなのに、タケルへの想いは熱くなるばかりだった。
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