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仕事の後はいつもこうだ。
心臓がバクバクうるさくて眠れない。
心臓の音ってこんなに響いたっけ…?
まだ耳に銃声が残ってる。
まだ指に引き金を引いた感触が残ってる。
今日のターゲットは珍しくヤクザとかじゃなかった。
新興宗教の人。先生とか言われてたみたい。
そいつが政治にまで手を出しそうになったから、私に始末依頼が来た。
それだけの理由で殺しちゃうの?って感じだけど、依頼がきたからにはしょうがない。
だって私は殺し屋なんだから…
「あら帰ってたの?」
部屋のドアから顔を出したのは母だった。
「うん。早く片付いたから…」
仕事の日は、だいたい深夜2時とか3時に帰宅する私だけど、今日はまだ午後11時。
ターゲットがヤクザの場合、女遊びに出かけてる時間を狙って始末するから深夜になる。
でも今日は普通の人。宗教の施設が閉まる時間を狙ったから早かったし、ボディーガードもいなかったから楽だった。
「ふふっ。さすが、父さん譲りの名スナイパーね!
明日は入学式なんでしょ?早く寝なさい」
そう言って母はドアを閉めた。
「…分かってる」
私は、完全にドアが閉まるのを見届けてから、小さく呟いた。
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