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『ああこら旦那、勝手なことしない!』
『む……お前は口煩くてかなわんな』
『旦那が大人しくしてくれたら、俺様も口煩くしなくてすむんですけどね』
「…………」
■だんな■
「しゃすけぇぇ~っっ」
…あーもう、また?
もうやだ。
もうつかれた。
なんでおれがこんなにくろうしなきゃいけないの。
おれだってともだちとあそびたい。
わがままとかもいってみたい。
ゆきのこもりは、もう、やだ!
「!!!」
うう、なみだでてきた。
ほんとうにもういや……、
「うっ、うああああん!!」
「!?」
きゅうにとなりからなきごえがして、もしやとおもってみてみたら、あんのじょう。
ゆきがないていた。
なんであんたがないてんのさ。
ないたいのはおれのほうだよ………。
「………どうしたの」
とりあえずきいてみる。
「うぁっ、うぁぁ~」
「ないてちゃわかんないよ、ゆき」
ああもう、いやだとおもったとたんこれなんだから。
それでもこもりしちゃうのは、もうせいかくじょうのもんだいだよね。
おれさまえらい。
…………だれかほめて。
「…………っ、すまぬ」
「?」
やっとなきやんだらしいゆきからきこえたのは、しゃざいのこえで。
なんであやまってんのかわかんなくて、ゆきをじっとみつめる。
「ぐずっ、すまぬさすけぇぇ~……」
そういって、せっかくなきやんだのにまたなきはじめるゆき。
なきながら、おれのまえまできておれのほっぺをぬぐった。
「??」
「っう、それがしのせいでっ、それがしのせいでさすけをなかじでじばっだぁぁあ」
「!」
さいごのほうはもうぜんぶにだくてんがついていて。
じぶんのほうがぐっちょぐちょのくせに、おれさまのほっぺをいっしょうけんめいぬぐうゆき。
「……………」
ああもう、しょうがないなぁ。
「ちがうよ、」
「?」
「めにごみがはいっただけだよ。おおげさなんだからもう」
「!」
そういってわらってあげれば、ゆきのひょうじょうもやわらぐ。
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