お姉さんは魔法使い

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俺の今までの人生ってやつは、だいぶ……いや、相当他人とかけ離れているモンだと自負できる。 そんな俺の夏休みを目前に控えた今日は、随分と懐かしい昔の夢を見たことから始まった。 「ふぁ~あ~あ~」 まあ、久しぶりに昔の夢を見たとはいえ、いつも通りに大あくびを一つ。 毎朝これで寝惚けた脳に酸素を送ってやらにゃ頭がすっきりせんのだ。 そして障子を開けて、今日も疲れ知らずで熱光線を出し続けるだろう太陽さんの光を入れる。 と、いつもより日射しが心なしか強いなと思い、見上げてみると、偶然にしちゃあ上出来だ。 雲一つなく、澄みきった青空。 冬なら放射冷却があるし、夏なら熱光線を遮らないから、俺としちゃああまり好む空模様じゃないが、いかんせんこの空には思い入れがある。何がと聞かれりゃ、ちょうど今朝見た夢そのものだ。 普通でも他人とかけ離れた人生を送っていると豪語できるのに、ソイツに拍車をかける出来事があったのが十年前。 ──キミを魔法使いにしてあげる── そんなことを当時七才の俺に言った人物と出会ったのが、今日と同じ空をした日だ。 ──ってなところで、ちょいと俺の昔話でもしようか。
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