お姉さんは魔法使い

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199X年 物心がつく前に両親は交通事故死。だから顔なんててんで覚えちゃいねぇ。 俺は既に独り身になっていた母方の爺さんに引き取られ育てられた。 爺さんは実戦型総合武術(マジでこれから戦争にでも行くのか?ってレベル)とかいう小さい道場をやっていたらしく、俺も例のごとくソレを叩き込まれて育った。 そして七才の七月、雲一つなく澄みきった青空。 朝の習慣になっていた、家の門の前の掃き掃除のときだ。 それは今でもよく覚えている。 当時の生活習慣は、朝五時に起床して掃除という、小学一年生にはあり得ないだろう生活をしていたからな。 だから朝五時なんて時間に家の前を通るのは牛乳配達のバイトの兄ちゃんや、犬の散歩をしている近所のおばちゃんぐらいなので、知らない人が通ればすぐに分かる。 その日、まだ幼い俺の目に止まったのは、ヨレヨレの格好をした女の人がおぼつかない足どりで歩いてきて、門の前で倒れた。 というところだった。
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