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じいさんに、
(困った人を見たら助けてやれ)
という家訓を教え込まれていた俺は、すぐさま爺さんの元へと走った。
「じーちゃぁぁぁぁぁぁあー!!」
「どうした陽輝? 掃除は全部終わったのか?」
「えっとね、えっとね、女の人がね、家の前でバタンって倒れたから助けようと思ったんだけどね、運べないからじーちゃを呼びに来た!」
「なんと!? よし、陽輝来い!」
爺さんについて家の前に戻ると、未だに倒れっぱなしの女性。
二人がかりで家の中に運び込み、ひとまず布団に寝かせた。
「ふむ……、どうやら疲労が溜まっていたみたいだな。しばらく寝かせとけば自然に起きるだろうよ。だから陽輝、しっかりと面倒を見るように」
俺にそう言い聞かせて、爺さんは道場の方へと行ってしまった。
爺さんに言われた通り、日課をこなしつつちょくちょく様子を確認するが、なかなか目が覚める様子はない。
その人の目が覚めたのは、日が暮れ始めた頃だった。
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