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「あ、起きた」
彼女が目覚めたとき、俺はちょうど汗を拭こうとしたところだった。
「……ここは?」
「僕ん家。ちょっと待っててね、じーちゃを呼んでくる!」
そう言って、また爺さんの所へと駆け出す。
爺さんの部屋に入ると、
「起きたか?」
と一言。
その一言に「うん」と頷いて、彼女を寝かせた部屋へと戻る。
「大丈夫か?」
「あ、はい。助けて下さってどうもありがとうございます」
「礼ならウチの孫に言いな。コイツがアンタを見なかったらそのままだったろうしな」
爺さんがそう言うと、彼女は俺へと向き直って、
「ありがとね。坊や」
と、頭を撫でてくれた。
それが単純な子供心にはとても嬉しかったのをよく覚えている。
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