お姉さんは魔法使い

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「まほーつかい……?」 そんなことを言われても当時七才の俺は分かるはずもなく、ただ首をかしげるしかなかった。 「魔法……っていうのはね、いや、これ以上言うと難しくなっちゃうね。簡単に言うと不思議な力かな」 蒼はそう言って、指をパチンと鳴らす。 すると指先に小さな火が灯った。 さらにそれをデコピンのように人差し指で軽く弾くと、奥にあった仏壇の蝋燭が明るく燃え出した。 「どう?」 と、少し得意気な顔をする。 「すっっっっっっっごーい!!」 勿論それは小学生の……いや、今でも驚くな。 とにかく小学生の興味を引くには十分すぎるものだった。 「もう一回見せて! もう一回!!」 「ダメダメ、たまに見せるからこそ意味があるんだから。そういえば私にもアナタと同い年ぐらいの娘がね……」 やんわりと断わると、自分の娘の話を始めるのだった。
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