蒼馬

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蒼馬には霊がみえる。 なぜ自分だけ 人に見えないものが 見えるのか 理由はわからなかった 初めてみたのは 幼い頃。 満月の夜の日 ゴミ箱をガサガサと 漁っている音が聞こえ 振り向いた瞬間。 ハッっと 息をのんだ。 そこにいたのは 体は黒猫で 頭は猫とは 明らかに違い なんと………… ワニだった。 バランスの悪そうな 体つきに加えて 目が赤く鋭く光って 異様なほど恐ろしい 鰐面猫だった そのワニ猫は人間の 言葉を使い 蒼馬に話しかけてきた 『俺の姿がみえるのかい?人間に姿をみられたのは初めてだよ、珍しいね。俺の好物って何かわかるかい?』 と何かを口に含みムシャ ムシャと食べていた。 蒼馬は呆然と 立ちすくみ 動けずにいた。 それに気付いた ワニ猫は蒼馬に 少しずつ近づいてきた 蒼馬は危険を感じ 逃げようと思うが 体がすくんで 動けなかった。 『おれの大好物…… それは……』
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