47人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに
俺は目の前の奴に気を取られて
周りが見えてないと思う。
でも,
試合で感情が高ぶると,
どうしても周りが見えなくなっちまうんだ。
正論を言われ,
少々強めな口調で言ってしまった俺なんて気にした風もなく
皐月は続けた。
「何回聞いたかしら,その台詞。
大体あんたはいつも――」
黙り込んだ俺を見て,
いつもの調子に戻った皐月が
悪戯に笑い,
なにやら小言を言い始める。
顔はいいのに,
性格が少し悪い。
捻くれてる。
<この性格なんとかすりゃモテるだろぉに…>
皐月の小言はあっさり無視し,
溜息と共に胸中で呟く。
と,
不意に何かに気付いたように
皐月の言葉が止まり,
慌てて部室の方へと駆けて行った。
最初のコメントを投稿しよう!