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<そぉいや転んだっけ…>
確かに,
擦りむいた膝からは
血が滲み出ていた。
が,
そんな酷い怪我ではない。
なにしろ自分で気付かなかったくらいだし…。
「別にいいよ。
こんなん唾付けときゃ治る」
「だぁめッ!それで黴菌でも入って化膿したらどぉすんの?
それにせこだけじゃな――>
「わぁったよ。
自分でやるから貸せ」
皐月の言葉を遮り,
皐月の持つ救急箱に
手を伸ばす――,と
パチンッと軽く叩かれた。
「これはマネージャーである私の仕事。
黙ってやらせとけばいいの」
「へぇへぇ」
俺が了承すると,
皐月は軽く微笑み,
地面に救急箱を置くとその横にしゃがみ込んだ。
慣れた手付きでピンセットを扱い,ガーゼに消毒液を染み込ませると,
軽くポンポンと傷口に当てた。
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