寒さと寒気

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ポケットに入れていたケータイを開くと、僕は驚いた。ケータイに着信が入っていた。 着信が入る事は特に珍しい事ではないが問題は着信数である。着信が三十八件も入っていたのだ。 その三十八件もの着信はみんな同じ人からで知らない番号だった。 僕の知り合いには、こんなに何回も電話をかける奴はいないはずだ。まあ、電話を掛けてくるやつは二人ぐらいしか居ないが。 僕が悩んで居るとまた着信が入った。 出るかどうか悩んだが、ここまでかけてくれたのに出ないのも失礼かと思い、恐る恐る出てみた。 「はい……もしもし?」 『えっ? やっと出てくれたよ!!』 電話越しに若い女性の声が聞こえてきた。驚きと嬉しさが混じったような声。
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