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「サクラ、どっか行きたいとことかあるか?」 「お金に余裕が出来てからにしよ。」 「でも……」 「大丈夫よ。私全然寂しくないから。」 サクラは少し寂しげな表情でアキラを見つめながら言った。 「お父さんも、お母さんも私にはもう居ないけど、今の私にはアキラが心の支え。アキラが居るだけで凄く元気になれるから。」 強がりにも見えたその少女の言葉から、表面上に表れないだけの激しく襲い来る悲しみの感情が読み取れた。 「なら、来月な。嫌って言っても連れて行くぞ。」 アキラはサクラを喜ばせる為に少しばかりの無茶を言った。 実際は生活に余裕なんて有りもしないのだから。 「うん。来月ね。約束だよ。」 サクラの笑みを確認出来たアキラは内心嬉しかった。 その後、アキラはわざとらしくお腹を叩きサクラの方をチラチラっと見る。 「……ハイハイ、晩ご飯ね。」 「おっ!気が利くじゃん。」 これが2人の日常の様…… そう、細やかな幸せが包み込む穏やかなまでの日常…… お金がなくとも、贅沢ができなくとも、こんな日が一生続けば良いと思う2人がそこにはいた。
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