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明け方まで続いたバイトを終えての帰宅。
全身が一仕事終えた後の心地良い疲労感に包まれている。
意味無く肩を解しながら歩く。
おっ、我が城が見えてきた。
『貧荘』それが城の名前。ぶっちゃけ倒壊3歩手前、廃墟2歩向こうに位置するようなアパートだ。
だからか家賃は最低でも人死にが4回はあったんじゃないかと疑いたくなる程に安い。
勿論、部屋は狭い。
だけど俺は一人暮し、何も問題無い。
どれだけボロくても、汚くても彼女はおろか友達もいない俺には関係ないさ!
俺だけの城!
誰も来ない孤独な城!
入居者も俺を含めて2人!
しかもその人とは面識無い!
社交性も無い!
イェイ!
疲れているからか、普段だったら落ち込む事実も軽い乗りで流せる。
テンションが下がったら実家に帰りたくなるのは今までの経験で熟知しているので、アパートまで笑顔で走る。
ただいまっ我が家!
意気込んで扉を開ける。
相変わらず汚い!狭い!
そして加齢臭がする!
・・・・・・なんで?
俺は23だから、加齢臭のする年では無いと思う。
だけど、扉を開けた途端に漏れ出して来たのは紛れも無いオッサンのフェロモン。
不思議に思い、注意深く部屋を見渡すと・・・・・・。
オッサンが缶ビール片手にクロスワードパズルを解いてた。
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