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「お前は入学式に来たのか?」
目の前でそう問い掛ける男は片目……と言うより
顔の右半分に大きな三本線の爪のような傷が走っており、
ただでさえ恐ろしい顔に鬼に金棒のような効果を与える
そんな男が見下ろすような視線で少年に問い掛けるものだから
少年はたったの一言
「……はい」
としか答えられなかった
「……」
少年はこの状況をどうやって切り抜けるかを脳内の細胞をフル稼動させて考えた……が、
脳内シミュレーションの中ではどうなっても結局は不幸せな結果に終わるようだ
「……ええと、少し遅れてしまって……」
少年はとりあえず謝罪だけはしておこうと立ち上がろうとした
しかし自分の意思とは別にその身体は空を飛ぶかのように宙へと舞い上がった
立ち上がろうとした時に地面につこうとした右手は
高く高く、目の前の男性の腕とともにかかげられていた
「……あはは……」
宙に浮いたまま少年は笑うしかない、といったような力無い笑い声を上げる
それにしても軽々と少年を持ち上げるあたり
男は相当力は強いようだ
男は片手で少年を持ち上げたまま、顔を近づけて少年に言う
「さっさと出て行け!!
ここはお前のような奴が来る場所では無い!!」
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