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「……」
少年は苦痛に歪んだ顔で
両耳を塞ぐ
先程に続きまたしても
耳元付近での怒声
少年の頭の中で
弦が切れたような
甲高い高音が暴れ回る
「ここは由緒正しき
伝統ある学校……
その由緒ある入学式に
遅れてくるような生徒など
いらぬわ!!」
男はそう吐き捨てた後
手にぶら下げていた少年を
乱暴に落とした
尻餅をつく形で落下した少年は
男を反抗的な眼差しで見つめる
「遅刻の事はすいません…
ですが、そういう風に
門前払いみたいに
理由も聞かないで断るってのは
どうかと思いますよ」
……まぁ遅刻の理由は
たんなる寝坊なのだが、
少年は権力にものを言うような
者を嫌うタイプなのだろう
少年は座ったまま反論した
「理由など聞く必要などない
我が学校に言い訳がましい
生徒などいらない!!
わかったら帰れ」
男は態度を変えない
「まぁまぁ、そう
頭ごなしに怒ると
身体に毒ですよ」
二人の口論に飛び込んできた
何やら不健康そうな声
男の後ろから聞こえる声に
男は振り返る
「校長……」
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