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「……まぁ、校長が遅刻しても許されるわけですから
この少年も許して上げましょう」
校長は開かれた左手に右手の拳を乗せ「それは名案だ」というポーズを見せる
なにやらよくわからない理屈を述べる校長に教員は大きなため息を吐いた
「こ、校長……いい加減に……」
右手にこもる力
教員の顔が三本の傷を残して赤く染まる
「いたいいたいいたいいたい」
少年の頭は孫悟空のようにぐいぐい締め付けられる
震えも相まって少年は喋ることも出来ない
「だから、ね?許して?ね?」
校長は両手……またしても白骨化した両手を合わせ「お願い」のポーズをとる
教員は呆れ顔のまま右手を少年の頭から離した
突然拘束から解放され、少年はバランスを崩す
少年は両足で地面を掴むと、精一杯の怒りの表情で教員を見上げる
「さっきっから痛ぇっていってんだ」
「それではよろしく、ツキト君」
少年は教員に向かって今までの頭への痛みを怒声で伝えようとするが
その口は校長の骨ではない真っ白な肌の人差し指に塞がれ、怒声は校長の落ち着いた声に遮られた
「!?……!!」
少年は必死で口を開こうとするが、ふがふがと間抜けな声が響くだけである
両手をばたばたさせて抵抗を表現する
校長は本日4回目の「ほっほっほ」という笑い声とともに人差し指を離した
「子供は風の子元気の子
若いっていいですねぇ」
うんうん、と頷き、ゆっくりと少年に背中を向ける
校長はふらりと元来た道を通ってその場を去ってしまった
少年と教員は何も言えずに、ただただ立ち尽くしていた
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