1・破瓜の封印

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自分の右手を見つめる。 微弱な電気は体を小刻みに震わせて止まらない。 指先が、血を失うように冷たくなっていくのがわかる。 だが、どうしてそうなるのか、わからない。 「お前は、何者だ?」 全身に鳥肌が立つ。 誰かが両手で心臓を掴んでいる──そんな感覚に息苦しさとめまいを感じる。 「なんなんだよ。 俺は、何をしてるんだ」 言い知れぬ不安と恐怖が口をつく。 「何故、ためらう?」 その問いに、心の奥底にある闇が答えを出す。 『迷うことなど、何もない』 「そうか……殺せばいいんだ」 『いつものように、血を撒き散らせばいい』 「そうすれば、楽になれる」 『愉しい時間を過ごせるぞ?』 体の周りで風が起こる。 少女に向けて右手を伸ばし、手のひらに作り出した紅い空気の渦を光の弾に変える。 「死……」 バンッ! 「な──」 『なんだと!?』 思わず目を見開く。 放った光は、少女の黒髪をかすめ、壁に割れ目を入れて霧消していた。 「何故!」 『どうして外れた?』 ぐらりと少女の体が揺れ、その場に崩れる。 「!!!?」 死んだのか、と思った。 が、胸元がかすかに上下している。 「気絶……か」 ホッと息を吐く。 『安堵、だと!?』
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