1・破瓜の封印

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「そうだね」 抱えていた膝を放す。 「そうしたら、楽になれるんだな」 『そうだ。思うがまま生きるために』 少女を見つめる。 「殺さなければ」 『殺られる』 呪詛をつぶやき、少女に手を…… 『触れるな』 ビクンと手を止める。 「触れたら、俺は──?」 手が小刻みに震える。 「こわ、い」 『怖いことなどない』 伸ばした手に、紅と闇の光が絡み合う。 やがてそれは渦となり、何本もの槍となった。 『そうだ。──やれ!』 声と共に槍が飛ぶ。 が、   パリン…… 槍は、もろかった。 少女に届く前に、ガラスのように砕けて消えた。 『またか!』 心奥で闇が忌々しげに叫ぶ。 月の光が強さを増した気がした。 少女の身体を包んでいた光が辺りに広がり、指先に絡み付く。 「ぅわぁっ!」 突然のことに驚いて光から逃げようとするが、体が動かない。 いや、逆に白い聖域の中に引き寄せられる。 『な、にぃ!?』 ビリビリと激痛が全身に走り、体に纏っていた赤黒い光が雲散する。 悲鳴に似た甲高い音が耳の奥で鳴り響いた。    イタイイタイイタイ…… 光の中、荒い呼吸を繰り返し、自分自身を抱きしめ、血が出るほどに強く唇を噛む。
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