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「だから、買ったんだって、お前に。
本当はさ、来月の誕生日まで内緒にしとこうかなって思ったんだけどさ。こういうのって、自分で買うよりプレゼントされた方がうれしいだろ?」
一息に言って、日和を見る。
「いいの?」
「もち!」
「ありがとう!」
満面の笑みで言うと、日和早速それを首にかけた。
学校の制服である白いブラウスの、Vの字に開いた胸元に、シルバーのハトが揺れる。
「おう、やっぱいいじゃん。似合うよ」
照れ笑いを浮かべる日和の頭を撫でて、英知は自分のカバンと一緒に日和の荷物も掴んだ。
「じゃ、もう少しがんばって歩きますかね」
「うん──あれ? えいちゃん、それ、私の荷物」
「あぁ、持ってやるよ。お前、疲れてんだろ?」
「そんなの、えいちゃんも同じ……」
「オレはなぁ、普段から鍛えてっから大丈夫だよ。今、チョコも食ったしよ。お前の紙袋一つくらいわけないって」
笑顔で言って歩き出す。
「本当に大丈夫?」
早足で追って来る日和をチラリと振り返り、英知はわざと悲しげな顔をしてみせた。
「なに、オレのことそんなに信用してないわけ?」
「そうじゃないけど……」
「なら、問題ナシ!」
笑顔で言って前を向く。
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