人の口

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人の口

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ たいてい金縛りにあうときは他の方々のように私は目があいたりしません。 全身が動かず圧縮機にかけられたように圧迫されます。 そしてとりわけ、左耳のすぐ横に「人の口」 の存在を感じ取り、言葉が発せられる前に解かないと大変なことになると根拠のない思いにかられて金縛りを解く、というのが通例なのですが、一度だけ金縛りの最中に目が開いた ことがありました。 この表現はあまり適格ではありませんが詳しく説明させていただくと、1時間連続金縛りにあう数か月ほど前に目が覚めるか覚めないかという時に右肩の上のあたりから、男の声にもうひとつ声を足したような聞きなれない声がしたので目をあけるといつもの自分の部屋なのですがやはり声がします。 私の部屋にラジオは置いていません。 声は自分の顔の近くから聞こえますが右側は壁なので人が立てる所はありません。 その声にはぞっとするものをすぐに感じていたので何とかしなくてはと体を動かそうとすると右手のあたりにうちのネコちゃんの感触を感じて助かったと思うと、急に体が自由になり体を起こすと声は消えていました。 そのときは寝ぼけて猫のいびき(うちのネコはイビキをかきます)を勘違いして一人で焦っていたんだなと思って友人にそのことを笑い話として話していた時に肝心なことを思い出したのです。 その声は1分間は続いていたのですが息継ぎをしていなかったのです。 猫であれば、そんなに長く音を出すことはできないはずです。 猫の呼吸は人よりも早いので息継ぎなしでは音は出せません。 自分でそれに気がついて少しぞっとしたのを覚えています。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
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