序章

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― 3 ― ここは……どこ? 重い瞼を無理矢理開き、見える範囲をよく見る。 少年と呼ぶにはまだ小さすぎる男の子の薄く開いた瞳が一瞬銀色に光った。 目に映ったのは真っ白い世界だった。 その場所が何処なのか、小さな男の子にも解った。 自分の母親が良く見ていた医療ドラマに出てきたような器械が並んで、器械から聴いた事のない音が部屋の中に静かに響いている。 器械から伸びる紐のようなものが自分の身体に繋がっているようだった。 男の子は自分が病院のベットの上に寝かされてる事に気が付いた。 ……びょういんだよね? なんでぼく、びょういんにいるの? 声を出そうとして、周囲に誰も居ない事に気が付いた。 ママ……ママはどこ?パパは?おにいちゃんは? 少年の胸はざわついた。 こわいよ……こわいよ ひとりぼっちじゃやだよ!! 急いで身体を起こそうとした。 ビリッと全身に痛みが走る。 いたいよぉ…おきられない……たすけて……ママ。 少年には自分の置かれていた状況が理解出来なかった。痛さと恐怖で、再び閉じられた目尻から涙が溢れ伝って落ちた。 こわいよぉ…。 ベットに寝ていた少年の耳に、カチャッと小さくドアの開く音が聞こえた。 少年は痛さに耐えながらも、音のした方向に体を向けようとした。 「目が覚めたの?あぁ、駄目よ!起きちゃ!」 母とは違う女の人の声だった。まだ年若い看護士が、起きようとする男の子を止めた。 「ちょっと待っててね。今、お医者さん呼んで来るからね。絶対に起きちゃ駄目よ」 看護士は開けた布団をかけ直すと、病室を出て医師を呼んで来ようとした。 歩き出そうとした自分のナース服のスカートの裾に、何かにひっかかる感じがした。
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