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〈前略、初めてお手紙致します。
無躾に申し上げる事をお許し下さい。やっと貴方を見付けました。近々、貴方の身に変化が起こるかもしれません。
それまで、この“お守り”を持っていて下さい。 かしこ〉
「なんだ……?これ」
不思議な内容の手紙だった。
陸斗は何度も何度も読み返し、便箋を裏に反しても見た。けれども、それ以上の事は書いていない。
それに一緒に入っていた《お守り》……理解出来なかった。
ファンレターじゃないよな……じゃあ、いったい何?
《お守り》を目の前にブラブラさせた。どう見ても、何処の神社にでも売ってそうな、普通の《お守り》だった。
初めてだ……お守り貰ったのなんて。
思って、《お守り》を見つめていた時だった。
―― キーン
不意に《音》が聞こえてきた。
まただ……うっ!今日は酷い……!
いつもより強く鈍い《音》に耳を押さえ、ソファーの上に丸まり過ぎるのを待とうとした。
―― キーン……ゴンゴン……
治まれ…止まれ……。
耳を押さえても、頭の中でどんどん強くなり響いてる。息も出来なくなりそうな苦しさに、陸斗は思わず目をつぶる。
一瞬、くらっとめまいのような感覚がした。
カッと頭の中で何かが開いた。瞬間、陸斗の意識は飛んだ。
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