赤頭巾ちゃん

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 目の前にいる大好きだった人たちがもう動かないんだということがわかると目から涙があふれ出てきた。  二人は目を見開いて、綺麗な赤で顔も胸も彩って、足元で横たわっている。 「ねぇ、何かしゃべってよ」  そう言っても話せないのはわかってる。  さっきまであんなにたくさん声だって出してたのにね。って少しだけ自嘲気味につぶやいてみた。 「馬鹿っ! 喋れるわけねぇだろ!」  なんて、そんな声が今は愛しくて愛しくて狂ってしまいそう。  ねぇ、どうしてこうなってしまったの?  何がここまでおかしくしたの?  そう訊きたくてもきっと答えてくれる人もいない。でも答えはわかってる。なんて悲しい自問自答。  あの子の顔は本当に真っ赤。好きな色に染まれてよかったね。これって、たちが悪い嫌味かもしれない。  ふと棚の上へと目を向けると、彼と私のツーショットが飾ってあるはずの写真たては倒れていた。
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