リトルプリンセス

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リトルプリンセス

 貴女にお会いしたのは、何年前になるでしょうか。  我々に名を与え、力を授けてくれた当時の貴女。  片田舎の平凡な農村の娘だった貴女は、突如現れた私たちを、戸惑いながらも受け入れてくださいました。      我々は主なしには、その力を振るえない。  正直、こんな少女になにができるのか不安でした。  しかし貴女は、我々を受け入れた事で降り掛かってきたいくつもの困難を、ご自身の力だけで乗り越えられた。  決して驕らず、貴女を守る立場である我々を守ろうと、必死に駆け抜ける小さな背中。  それは今も誇りに思います。      そして今だから言えることですが、苦しいときは我慢せずに、もう少し我々を頼ってほしかったですね。      けれど、楽しかった。  貴女のような主人に出会えて、本当によかった。  感謝します。  我々を愛し、慈しんでくださった、ただ一人の方。        我々の小さな姫君。  ……どうか、安らかにお眠りください。    
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