さあ、登校しよう

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少年の足音が遠ざかる。 数分して、走って帰ってきた。息が上がっている。 あたしの頭にポン、と手を置いて。 「資料室、持っていったから。保健室いこう」 「……ありがとうございます」 そう言ってあたしは1人で歩き出した。 足首がズキズキする。 「馬鹿!強がんなよ。ほら、」 少年が私の前に背中を向けてしゃがんだ。 ……え?これって… おんぶってやつ? 親にもしてもらったことないのに… 「だ、大丈夫です!1人で歩けます」 あたしはかなり焦っていた。 こんなに人から優しくされたの、生まれて初めてだから。
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