1116人が本棚に入れています
本棚に追加
「恵ちゃん恵ちゃ~ん!」
俺を呼びながら抱きついてくる葵に思わずドキリとしてしまった。
(ぅぅ…あいかわらずかわいい//)
そんなことを思いながらも今の状況を把握する
「…あ」
周りを見回せば、事情を知らない教室中の面々が俺らを何とも言えない表情で見ていた。
その沈黙を破ったのは担任の咳払いだった。
「…え~と、紅…とりあえず自己紹介してくれるか?」
担任のその言葉に、葵は顔を真っ赤に染めて、クラスメートの方を向いた。
「えっと…紅 葵です!よろしくお願いします!」
葵はそう言うと深々と頭を下げた。
「はい、じゃあみんな仲良くするように~。紅の席は窓際の一番後ろだからな」
担任は開いている2つの席の後ろを指差し言った。
「…九柳も早く席つけ」
トコトコと小動物よろしく席の間を歩く葵を見届け、俺も席に向かう。
(あいつら葵のこと狙ってんなぁ…俺が守ってやんなきゃな)
葵に熱っぽい視線を送っていたクラスメートを睨み付けながら、葵の前の席についた
最初のコメントを投稿しよう!