昔馴染編

7/8
1116人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
葵が驚いて振り向くと、同じように驚いている神條 夜海の姿があった。 「…お前、何をしている?」 僕が放心していると、唐突に声をかけられた。 夜海兄ちゃんを見ると訝しげに目を細めている。 「え?あっあの…」 何て言ったらいいのかわからなくてつい黙ってしまった。 「用がないなら帰れ。邪魔だ」 そう吐き捨てると葵の横を通り過ぎようとした。 「…!よ…夜海兄ちゃん!」 通り過ぎる間際、やっとの思いでそう呼んだ。 夜海兄ちゃんは足を止めてこちらを振り返った。 「…俺はお前のことなんか知らない。気安く呼ぶな」 冷たい声と瞳に空気まで凍ったのかと思った。 暗い沈黙 そう例えよう 冷気のような声音に光のない視線 僕は、恐かった…
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!