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気がつくと空はすっかり暗くなっていた。
夜海兄ちゃんは当然だけどすでにいなくて、僕は1人昇降口に向かった。
(まだ体が震えてる…情けないな…)
自分自身に苦笑をしていると、聞き慣れた声がした。
「あ!葵どこにいたんだよ!探したんだぞ?」
僕の姿を見つけたらしい恵ちゃんが走り寄ってきた。
「…校内探索だけど…なんで?」
勢いに押されぎみだが、不思議に思い聞いてみると
「ばっか…!こんな時間まで靴があったら心配するだろうが!」
こんな時間?
携帯を出して見てみると驚いた
「えっ!8時!?」
時計は8時を少し回っていた。
「俺が部活終わったのが7時半だから…ったく1人でうろうろしてんなよ…なんかあったらどうすんだ」
恵ちゃんは今にも泣きそうな顔をして僕を抱きしめた。
「け、恵ちゃんっ…苦しいって」
そう言うと、慌てたように体を離す
「あ、わりぃ…」
「僕、迷子になる程子どもじゃないよ?」
心配してくれたのは嬉しいけど、子ども扱いはされたくない
少し拗ねて言ってみた。
「はぁ?そんなこと心配してるんじゃ…まぁ、いいや。帰ろうぜ?」
なにか言いかけたけど、迷子になるって話じゃないのかな?
僕たちは一緒に歩き出した。
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